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はじめに

2015/04/30(Thu) 10:40

 強磁場を利用した物質・材料研究の共同研究拠点として

                                    2015年4月 センター長 野尻浩之
 強磁場超伝導材料研究センターは、物質・材料研究の世界的拠点である金属材料研究所の付属施設として、磁性体、超伝導体をはじめとした革新的な物質・材料の基礎ならびに応用研究の拠点として活動しています。その中心的な設備として、世界的にも6カ所にしかないハイブリッド磁石と世界的にもユニークな無冷媒超伝導磁石群および超伝導磁石群と強磁場環境下で物質・材料研究を行うための様々な実験装置を備え、大学共同利用を中心として、内外のユーザーの共同利用に供しています。
 音楽に例えるならば、研究試料は楽曲、利用者は音楽家であり、強磁場センターは演奏のホールと楽器を供給し、時には一緒に演奏に加わります。交響曲のような組織的な研究も、ジャズのセッションのような先鋭な個人的研究も、分野の垣根なく受け入れていますので、多くの方が先進的な強磁場環境を存分に利用頂き、物質・材料研究を共に推進して頂きたいと考えております。ここ数年の設備更新により、強磁場センターの磁石群の性能は飛躍的に高まりました。次のステップとして、このアドバンテージを生かした利用研究を支援・推進し、我が国の物質・材料研究の飛躍を果たすべく、設備および運営の不断の改革を行って行きますので、関係者のご支援、ご協力をお願い致します。

強磁場超伝導材料研究センターの沿革
 強磁場超伝導材料研究センターの前身である超伝導材料開発施設は,核融合炉開発研究の一翼を担う研究施設として東北大学金属材料研究所に昭和56年度(1981年度)に開設されました。中心設備は定常強磁場を発生するハイブリッド・マグネットであり,全国の国公私立大学の研究者だけでなく民間の研究者にも共同利用として供されてきました。
 ハイブリッド・マグネットとは,外側の超伝導マグネットと内側の常伝導マグネットとを組み合わせて,それぞれのマグネット単独では発生できない非常に強い磁場を発生する装置です。常伝導マグネットには,数MW(メガ・ワット) 以上の大電力直流電源とジュール熱を除去するための純水による冷却設備が必要です。また超伝導マグネットもかなり大型となり,蓄積エネルギーは20MJ(メガ・ジュール) を超えます。このハイブリッド・マグネットは昭和61年(1986年)には31.1T(テスラ)という世界最高の定常磁場を記録しました。さらに,20Tまでの高均一超伝導マグネットや,世界に先駆けて本センターで開発に成功した28Tまでの無冷媒ハイブリッドマグネットや20T無冷媒超伝導マグネットも設置され、省エネルギーで高精度の実験が可能になっており、広く共同利用研究に提供されています。