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超伝導材料における磁束ピンニング現象

2017/01/10(Tue) 14:53

超伝導材料における磁束ピンニング現象

人工ピンによる高温超伝導REBCO膜の高特性化

 名古屋大学 吉田研究室と共同で、ナノロッドと呼ばれるナノサイズの柱状析出物を超伝導体内部に分散させることで、飛躍的な臨界電流密度と不可逆磁場の工場に成功した。

S. Awaji et al., Appl. Phys. Express 8 (2015) 023101.

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左図 ナノロッドの組織と不可逆磁場Bi 特性。不可逆磁場は臨界電流がゼロとなる磁場で、その材料が使える上限の磁場を意味している。これまで液体窒素の沸点(77.3K)では10T程度であったが、ナノロッドの導入により15Tを超えることが分かった。
右図 微細組織写真で、黒く線状に伸びている部分がナノロッド。

高温超伝導体REBCO材料における磁束ピンニング状態図の解明

 様々なc軸創刊ピンニングを有するREBa2CU3Ox(RE123, rare-earth)膜における、磁束ピンニング状態を調べた。LTG-Sm123膜の場合、挿入図に示すように、C軸相関ピンに由来するJcの角度依存性におけるB//c(θ=0°)近傍のピークは、磁場の増加と共に一旦消滅した後、不可逆磁場近傍で再度増加することが分かった。この結果から、図のような磁束ピンニング状態図が描かれる。さらに、この磁束ピンニング状態図は、c軸相関ピンの種類によって大きく変化することを見出した。

S. Awaji et al., Appl. Phys. 90 (2007) 12501.
M. Nanba et al., Appl. Exp. 1 (2008) 031703.

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図 刃状転移がc軸相関ピンとして存在する場合の磁束ピンニング状態図。挿入図は臨界電流密度及び電気抵抗の磁場印加角度依存性。この結果を基に磁束ピンニング状態図を決定した。